三度の飯と、考えごと

小説、ボルダリング、コーヒー、農業。

第一回あたらよ文学賞 佳作/第40回太宰治賞応募

第一回あたらよ文学賞において、佳作をいただきました。
作品は文芸ムック「あたらよ」創刊号に掲載されます。

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全国の書店陳列に先んじて、11/11文学フリマ【う-4】で販売されます。
予約販売は既に開始されています。

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僕の作品「まゆどじょう」は、奇妙な生態を持つまゆどじょうを巡る物語です。
二次選考時「冒頭からエロスと寂寥感がエグい」という講評をいただきました。
なんと、あたらよ文学賞は一次選考時から最終選考まで、計三回講評をいただけるのです。

 

さて、僕は今まで第一幕として地方文学賞を主戦場としてきました。
第一幕は地方文学賞で、基礎体力づくり。第二幕は中央の賞(デビューできる賞)に応募。第三幕はデビュー後。
と、位置づけています。

 

昨年の三田文学賞に応募、落選した作品「伴侶」を堺に、第二幕に入ったと認識しています。(まあ、僕の心持ち一つなんですが)
本当は、地方文学賞を1~2個受賞して、執筆開始から3~4年目には第二幕に突入する予定だったんですが、思いのほか良い結果に恵まれず、第二幕に入るまで7年を要してしまいました。
第二幕突入も、なんだかなし崩し的で、「大賞はないけど優秀賞とか最終候補とかあるし、いっか」って感じでした。

 

受賞コメントにもあったように、第一幕では、地方文学賞の舞台で評価されるよう、とにかく個性を消して、無味乾燥な文体で、小さくまとまった作品になるように書いてきました。
なので正直、第一幕で書いた作品は、胸を張って自分の作品だとは言えません。例外は、第三回文芸思潮新人賞で入選をいただいた「某の欲望」ぐらいかな。

第三回文芸思潮新人賞 入選 - 三度の飯と、考えごと


とは言うものの、元々、地方文学賞の受賞と基礎体力づくりを目的としていたわけなので、計画どおりに事は進んでいたんです。自分で自分に不完全燃焼を強いていただけで。
ただ、第一幕のおかげで、基礎体力はついたし、型の把握にも役立ちました。僕は小説を書くのが下手なので、こんな風に遠回りが必要だったのです。

 

そして、「伴侶」を堺に、個性の解放を意識しました。
当然、そんな書き方は初めてだったので、良い作品にはならなりませんでした。全然解放できてなかったし。
そして、次の作品「最後の子種」で、ようやく「これが自分の作品だ」と思える作品を書くことができました。そういえば、「最後の子種」の最初の仮タイトルが「解放」だったな。偶然。
評価されるように、ではなく、我を評価せよ、というノリで書きました。
当初は、群像新人賞に応募予定でしたが、太宰治文学賞に出すつもりです。約100/1000作品が一次通過するので、フィードバックを得ることを優先します。
どう評価されるか分かりませんが、僕の作品のなかでは、確実に一番良い作品です。

 

次の長編はどうしようかなーと模索している最中、「第一回あたらよ文学賞」の存在を知りました。第一回だし、多くても100ぐらいの応募数だろうなー、ワンチャンあるかなーと思って、蓋を開けたら応募数は496!勘弁してくれよ、と思いました。
短めの作品でも応募できる賞だったので、もう評価とか関係なくやりたいことやりまくった作品書いたろ!と生まれたのが「まゆどじょう」でした。
「最後の子種」は、自分で課した制約やモデルとした物語の起伏などもあって、やりたいようにやったわけではありませんでした。
「まゆどじょう」は、ほんと、構成も何も気にせず書きました。
そんな作品が評価されたわけなので、非常に実りのあるフィードバックでした。

 

商業デビューとは言わないんだろうと思いますが、晴れて「商業誌に作品が載った人」となったわけです。
僕が参加している牧野楠葉さんの文筆家ディスコードで、昨年商業デビューした作品がすばるの編集者の目に留まり、小説すばるにエッセイを掲載された人がいました。そうやって仕事貰っていくのか、すげーと思ったのと同時に、僕のレベルじゃまだそうはならないだろうと思いました。
「まゆどじょう」を読んで、「是非うちの雑誌に!」とはならない。

 

これからも執筆と向き合う日々は続く。
しかしながら、プライベートの変化もあり、少しのあいだギアを落とす予定。

 

とにかく、今回の結果は、大変光栄なことです。
関係者の皆様には感謝いたします。
ありがとうございました。
なんらかの場面で「あのとき佳作だった佐藤龍一じゃん!」って言って貰えるように頑張ります。

 

また、『第二回 あたらよ文学賞』の開催が決定しているようです。
詳細及び最終選考委員は『文芸ムック あたらよ・創刊号』をご覧ください。

 

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